表題番号:2018S-065 日付:2019/03/30
研究課題西洋中世の社会共同体における正義の在処-ビュリダンの正義論を中心として
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 辻内 宣博
研究成果概要
トマス・アクィナスとジャン・ビュリダンにおける法的正義を形成する基盤を,アリストテレスの『ニコマコス倫理学』への註解や問題集での言明に即して,両者の相違を明らかにした。トマス・アクィナスは,神の知性の中にある永遠法から自然法・人定法へと及ぶ合理性に基づく首尾一貫した正義の体系が形成されており,合理的な法に基づく正義観が打ち立てられているのに対して,ジャン・ビュリダンは,現実社会での人間の在り方に注目して,共同体の成員相互の意志の共有やコミュニケーションに基づく正義観が打ち立てられていることを示した。