表題番号:2018S-054 日付:2019/04/08
研究課題ポスト大戦の英語圏の女性文学
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 松永 典子
研究成果概要
 本発表では、近年のミドルブラウ文化研究にも注目しながら、ウルフと文壇との論争から英国モダニズムの再読を試みた。ただし、ここで論じるのは、有名なアーノルド・ベネットとの文壇論争ではなく、ウルフとデズモンド・マカーシなど彼女の同時代の男性知識人作家との論争である。本発表では、1920年にはじまる雑誌上でのマカーシーとの一連の論争、および、1940年発表の講演原稿「斜塔」とりわけそこで提示された共産主義知識人としてのオーデン・グループへの批判的言説を取りあげることにより、大衆ユートピアのヴィジョンとプロジェクトを包含するアール・デコと英国モダニズムそしてシスターフッドとの関係を、考察した。具体的には、ウルフの想定する女性作家および読者を、アール・デコ期という歴史性において英国モダニズムのシスターフッドという観点から再解釈を試みた。