表題番号:2018S-050 日付:2019/03/22
研究課題近世ドイツ都市における暴力への多様な認識:画像史料における描写にも注目して
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 助手 齋藤 敬之
研究成果概要
 本研究は、近世都市ライプツィヒを事例に、当時の暴力が公権力や都市社会などさまざまな次元でどう認識されていたのかを解明すること、さらに当時のメディアにおける描写の特徴を明らかにすることを目指したものである。刑法規範や都市裁判所での供述・証言記録の分析から、身体的な暴力がそれに先行する侮辱や挑発といった名誉棄損と密接に結びついていたことを導いた。他方で当事者の証言から、こうした名誉との関連づけによって自身の暴力行使を正当化し責任を軽減させようとする戦略も確認できた。さらに、加害者と被害者あるいは目撃者との間で暴力の認識や描写に相違があり、正当な暴力と不当な暴力の境界が可変的であったことも導いた。