表題番号:2018S-048 日付:2019/04/06
研究課題南都近世彫刻の調査研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 川瀬 由照
研究成果概要
近世の奈良では南北朝期慶派の流れを汲む高天仏師以降彫刻制作の工房が分派していった。本研究では奈良県の唐招提寺覚盛上人像や金峯山寺蔵王権現像等の実査を行うことによって当時の工房の成立と活動実態についての研究を行った。その結果、高天仏師から派生したとみられる椿井仏師は奈良椿井町に住していたかもしれないが当初は唐招提寺や法隆寺などの現地工房での制作から始まったことが判明し、桃山時代の下御門仏師は兄弟・親戚等同族組織に加え、中世慶派と同じく大型彫像には大工衆とともに制作を行い、当時の豊臣・徳川政権での大規模造営に対応していたことがわかった。研究成果は『國華』と『唐招提寺の伝統と戒律』に投稿した。