表題番号:2018S-017 日付:2019/04/08
研究課題抗弁放棄条項の有効性に関する比較法的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 助手 小島 庸輔
研究成果概要

 アメリカでは,売買,請負等の代金の三者間型与信において,かつては約束手形が一般に用いられており,有価証券の正当な所持人に認められる抗弁切断効が生じていた。抗弁切断条項は,約束手形によらず,契約によってこれと同様の効果を実現するため,用いられるようになったという経緯がある。しかし,抗弁切断条項は時を経るごとに様々な掣肘を受けることとなる。

 まず,裁判例においては,正当な所持人の法理から導かれる要件が抗弁切断条項にも課せられる。さらには,公序(public policy)の観点から制約する裁判例も多く現れる。さらに,その後の制定法は,各州が種々の要件のもとで抗弁切断条項を制限する。特に,消費者保護志向の高まりのもとでは,統一消費者信用法典において抗弁切断条項の制限がなされ,また,その後は,連邦取引委員会により全米レベルでの規制がなされるに至る。