表題番号:2018K-443 日付:2019/04/08
研究課題ストラヴィンスキーとオリエンタリスム:《日本の3つの抒情詩》における「春」の表象
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) グローバルエデュケーションセンター 講師 池原 舞
研究成果概要

ストラヴィンスキーの歌曲《日本の3つの抒情詩》に対する「日本の二次元的芸術にヒントを得て西洋の伝統にない独特の世界を開いた」という先行研究の解釈に、本研究は疑問を呈した。

《抒情詩》は、山部赤人、源当純、紀貫之の短歌に基づいて作曲されたが、参照されたのはブラントによるロシア語のテクストで、ドイツ語からの重訳。それらはすでに日本的な風情の薄れたものだった。

一方、この作品の一次資料を調査したところ、第1曲の自筆譜は、縦12cm・横65cmの形状の紙に書かれており、日本画に押印される印鑑に類似したマークが付されていた。ストラヴィンスキーは、この作品を物質的な観点から一種の日本画のように捉えていたのだ。