表題番号:2018K-417 日付:2019/03/18
研究課題常習賭博罪における刑の加重根拠
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 川田 泰之
研究成果概要
常習犯に関する総則規定が存在しないこともあって、刑法およびその特別法において、常習概念は必ずしも統一的に用いられてこなかった。罪質に応じて常習概念および刑の加重根拠を弾力的に解釈する余地は残されている。国民の健康を賭博罪の保護法益と解する立場は、賭博行為に耽溺して依存症に陥ることを問題視するから、方向性としては、賭博行為を反復累行する習癖に着目する行為者定型説と軌を一にすることとなる。以上のように、罪質によって常習概念が異なった形で補足されうるから、常習賭博罪については、判例・通説とは異なる保護法益の解釈にしたがって、刑の加重根拠も異なった形で捕捉されうるという着想を示した。