表題番号:2018K-382 日付:2019/04/08
研究課題米国の「航行の自由」作戦が中国に及ぼす海洋法上の意義
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 教授 池島 大策
研究成果概要

 海洋法上、航行の自由の概念は、旗国と沿岸国との間で長らく争いがある。国連海洋法条約の下でも、従来の海洋国に有利な自由な解釈を許すとする米国のような国と、その影響力の拡大を懸念し海洋国からの脅威を牽制するために制限的な解釈を支持する中国のような国とで対立がある。米中による海洋覇権争いの激しい南シナ海は、台湾の帰属や統治を巡る対立から台湾海峡における米国艦隊の通航の問題も絡む。米国は現状維持を確保すべく、「航行の自由」作戦を断続的に実施し中国を牽制するが、今日のように経済力を伴った軍事力増強を図る中国には、同作戦は実効性の乏しい単なる示威行動に過ぎず、同海域の緊張関係を徒に煽る虞が濃厚である。