表題番号:2018K-330 日付:2019/04/02
研究課題近現代都市における貧困の重層化プロセスと社会政策に関する歴史社会学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 武田 尚子
研究成果概要
 本研究は、国内では東京都心部、国外ではイギリスのヨーク市の2カ所を調査対象地とし、歴史的アーカイブを用いた質的調査方法によって、貧困の重層化が生じるプロセスを明らかにした。どちらの地域においても近代の都市化の時期に、遷移地帯で貧困層が集積した。そのような地域で貧困対策が実施されたことによって、極貧状況は解消されたが、低所得層の集積は存続した。居住環境の地理的特徴などにより、狭小区画などが存続し、居住人口は流動しているが、低所得層を吸引する要因が持続した。この結果、社会関係、生活様式にも一定の特徴を帯びた地域となり、再開発時代においても再び低所得層が集積しやすい状況にあると考えられる。