表題番号:2018K-320 日付:2019/04/05
研究課題エージェント・ベース・モデルによるイノベーション政策分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 及川 浩希
研究成果概要
 マクロ的な経済成長を維持するには、持続的な技術進歩が不可欠である。本研究は、仮想的な技術空間における企業の戦略的立地と、イノベーション成果の関係に基づいて、ミクロ・マクロ両面から見て望ましイノベーション政策のあり方を探る試みである。
 研究の第一段階では、企業が取得した特許データから抽出した企業間の技術的な距離を用いて、実際の技術空間上の企業立地の変化を追跡した。データから推計された移動距離や、移動先における企業集積状況など、立地が変化した時の特徴と、その後の各企業の特許申請状況を観察した。
 研究の第二段階では、企業の技術立地モデルを作ってシミュレーションを行った。このモデルが有用であるのは、政策等の変化が引き起こす企業の技術的立地の内生的な変化を明示的に考慮した上で、影響を把握できる点にある。論文では、移動距離等の基本的な特性をモデルが再現できることを示した上で、特許保護を政策的に強めることで技術的距離が全体的に広がるように立地の変化が生じ、結果として特許保護のイノベーション促進効果を抑制することを示した。