研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 武岡 真司 |
(連携研究者) | 東京工業大学 | 講師 | 藤枝 俊宜 |
- 研究成果概要
報告者は、ナノ粒子やナノシートに温度応答性の蛍光色素と標準用蛍光色素を利用したレシオ型ナノ温度計を開発し、細胞内エンドソームや筋組織の温度を蛍光顕微鏡で計測することに成功している。この場合、蛍光色素はナノシート内部に封入され温度以外の因子の影響は受けず、ナノシートは表面密着性が高いため高い時空間分解能にて表面温度を計測できた。そのデモンストレーションとして、カブトムシの飛翔筋組織に温度応答ナノシートと温度非感受性ナノシートを重ね合わせることによって、レシオ型な組織の温度イメージング像をリアルタイムに捉えることに成功した。また酸素応答性ポルフィリン誘導体を導入した薄膜型センサーをナノシート化した場合、酸素濃度の変化を感度良く捉えることもできている。この様に温度やガスのバイオイメージングでは、なるべく厚さが薄いナノシート程、時間分解能が高くなる。但し、感度を上げるためにはより広い領域で強度を稼ぐ必要があるために、空間分解能を下げざるを得なくなる。
他方、pHの測定は、溶液中の濃度測定であるために、水溶性のポリアニオンに検出用蛍光物質を共有結合で固定し、ポリカチオンとの静電的なコンプレックスの形成(layer-by-layer 法)させた後熱架橋によって水中での安定化を確保することでpHセンサー部の構築に成功した。そのデモストレーションとしては昆虫の様な動物の組織のpH変化は時間軸が複雑であるために難易度が高い。そこで、植物に着目し植物の葉の組織にpH非感受性ナノシートと共に密着させて貼付し、高い塩化物イオンの水溶液に葉を曝すとシンポ―トによって塩化物イオンと共にプロトンを細胞内に取り込むことによって起こる、アポプラストpH変化をイメージング像として感度高く捉えることを示した。更に、膜厚はプロトン拡散に影響を及ぼすため薄膜化することで応答速度が速くなることを本研究で実証できた。