表題番号:2018K-275 日付:2019/03/29
研究課題光局所状態密度の高精度可視化法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 井村 考平
研究成果概要

 金属ナノ構造体において光励起される自由電子の集団電子運動は,光電場と電子の強結合状態を誘起する。光と電子の強結合状態は,光を時間的また空間的に閉じ込め,ナノ構造体近傍に著しく増強した光電磁場を誘起する。光増強場を応用に利用するためには,光増強場の時空間特性を理解することが本質的に重要である。光増強場は,ナノ構造体に誘起される光局所状態密度と強く相関することから,これを可視化することが光増強場の本質的理解と利用において不可欠である。本申請課題では,近接場光が発生する開口型近接場プローブの開口部分と試料表面の距離を高精度に制御して,近接場信号成分とファールード成分の分離検出を実現し,金属ナノ構造体における光局所状態密度分布の精密可視化法を確立することを目的とした。本研究では,金属の二次元構造体を研究対象とした。二次元構造体では,一次元構造体に比べてより多くの励起モードが存在し,その理解がより複雑となる。二次元構造体では,面内モードと面外モードが存在し,これらのモードの共鳴エネルギーは,近接していておりこれを分離検出することは通常困難である。本研究では,面外モードと面内モードの3次元的空間特性の違いに注目し,近接場プローブ開口部分と試料表面の距離を高精度に制御して,金属ナノプレートに誘起される励起モードの立体空間分布の高精度可視化を達成した。本研究により,面内モードの光増強場の発生メカニズムを詳細に解明した