表題番号:2018K-264 日付:2019/04/06
研究課題Onsager-Kirkwood-Fröhlich理論による生体分子系の誘電応答解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 高野 光則
研究成果概要
生体分子は表面が荷電しており、分子間相互作用には分子表面の電荷間のクーロン引力が寄与していると予想される。しかし、生体分子の間に存在する水は誘電率が大きく、水中でのクーロン相互作用が十分な引力をもたらすかどうかは自明ではない。そこで、本研究ではOnsager、Kirkwood、Frohlichらによる誘電体理論と分子動力学シミュレーションを組み合わせ、タンパク質分子表面を模した疎水表面近傍の水の誘電率を解析した。その結果、疎水表面近傍では誘電率が低下し、異符号電荷間のクーロン力が増強されることが分かった。「疎水表面の水は固体的(ice-like)」との物理描像が根強くあるなか、本研究により疎水表面の水は気体的(gas-like)であることが示された。