表題番号:2018K-255 日付:2019/02/15
研究課題分散型半線型発展方程式の爆発解の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 小澤 徹
(連携研究者) ピサ師範大学 博士研究員 藤原和将
研究成果概要
 ユークリッド空間上の非線型シュレディンガー方程式や複素ギンツブルグ・ランダウ方程式は、その非線型自己相互作用が引力型の場合、解は自己集中して爆発する。これは、レーザーの自己集束現象を数学的に説明するものとして興味深い理論である。その際、方程式のもつ時空尺度構造、ゲージ構造、変分構造が本質的に用いられる。特に、説明の鍵となる二次モーメントの消滅機構は空間伸長による対称性から定まるもので、通常、ビリアル論法と呼ばれている。
 一方、円環(トーラス)上で考えた場合の分散型非線型発展方程式は、数値解析的研究は数多く行われているが、時空の対称性が限られるため、ビリアル論法は役に立たない。[1]において研究代表者は、トーラス上の上記分散型非線型発展方程式に対し、ゲージ構造の破綻が爆発解の存在に結び付く事例を幾つか見出した。
 本研究では、[1]で見出した単調整の議論を更に深め、トーラス上の微分型非線型シュレディンガー方程式に対しても、単調性に由来する爆発現象を見出し数学的証明を与えた[2]。また、これらの結果を統一的に説明する理論体系に纏め上げ、[3]として発表した。