表題番号:2018K-161 日付:2019/02/07
研究課題周作人と『新青年』グループ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 小川 利康
研究成果概要
本研究は、新資料に基づいた調査研究により『新青年』を一つの組織体として捉え直し、周氏兄弟と陳独秀、銭玄同、さらに胡適との関係を解明することによって、従来孤立して行われてきた個別作家研究の限界を超越し、五四時期に相互に影響を与えあいながら文学的成長を遂げていった魯迅、周作人を中心とする作家群像を描き出そうとするものである。本年度は周作人研究に重点を置くため、「第一回周作人国際学術シンポジウム」を早稲田大学で7月7日、8日に開催した。科研費・基盤研究Cおよび特定課題研究の支援のもとで、内外から研究者26名を招聘し、早稲田大学3号館を会場として論文発表および討議を行った。会議期間中、会津八一記念博物館では徳泉さち氏の協力により、昨年松枝到氏より寄贈されたばかりの周作人書簡(松枝茂夫宛、全123通)の一部を展示し、その資料的に価値について討議を行い、高い評価を得ることができ、『読売新聞』、『朝日新聞』などで報道された。これまで戦前の対日協力の問題のために、中国では周作人に関する国際会議を開催することができなかった。今回、世界で初めて日本で国際会議を開催することが出来たのは本学のアカデミックステータスの向上のためにも有意義であった。現在までに中国国内では『魯迅研究月刊』(月刊、2018年12月号)に馬嬌嬌「日本“首届周作人國際學術研討會”紀要」が、『新文学史料』(季刊、2019年第1期)には彭雨新「“首届周作人國際學術研討會——基礎資料的鉤沉與整理”會議側記」が掲載され、今回の会議内容に関する詳細な紹介が行われている。両誌とも中国では核心期刊と呼ばれ、権威ある学術誌であり、今回のシンポジウムに対する理解と支持を表明するもので、今後とも継続して開催するために努力してゆきたい。