表題番号:2018K-160 日付:2019/03/31
研究課題フランス三大都市における都市公共交通整備と都市化の関連性に関する歴史地理学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 國府 久郎
研究成果概要
 本研究は、フランス三大都市(パリ・リヨン・マルセイユ)における都市公共交通の整備と都市化の関連性を検討することを目的としている。本年は、近年の成果を取り入れてマルセイユの研究を見直すとともに、フランス都市地理学・都市史および交通史に関する図書資料を集め、研究動向を調査した。とりわけパリ市を研究対象とするため、パリ市・パリ都市圏関連図書の収集を国内で行った。こうした一連の調査により以下のような点が主に明らかになった。従来の研究では1900年に開通した地下鉄が首都の公共交通として注目されてきたが、1914年においてもパリと郊外に関して、路面鉄道(トラムウェイ)の年間乗客数は約4億9千万人で、地下鉄の4億7千万人を上回っていた。しかしながら、その地上交通では、旧態依然の乗合馬車や路面馬車が1913年まで利用され続けた。路面電車がすでに世紀初頭より普及していたフランス地方大都市と比較すると、パリの都市公共交通は特異な状況にあったのである。