表題番号:2018K-157 日付:2019/03/29
研究課題アンセルムスの原罪論
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 矢内 義顯
研究成果概要
 11世紀のカンタベリーのアンセルムスは,『処女の懐妊と原罪について』において,アウグスティヌス的な伝統に従う原罪‐情欲論に対して,原罪を「アダムの不従順によって生じたあるべき義の剥奪・欠如」と規定した。彼の原罪論は,12世紀の神学的世界においては忘却されていたが,13世紀,フランシスコ会のヘールズのアレクサンデルが『命題集註解』でこれを取り上げる。さらに,トマス・アクィナスは原罪を「質料的には情欲だが,形相的には原義の欠落である」と述べ,アウグスティヌス的伝統とアンセルムスの思想を総合する。こうした11-13世紀の原罪論の展開は,16世紀トレント公会議における「原罪についての教令」を準備することとなる。