表題番号:2018K-140
日付:2019/03/06
研究課題分配的正義論における責任概念の再検討
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 助手 | 宮本 雅也 |
- 研究成果概要
- 運の平等主義における責任の構想が抱える問題点を明らかにした。運の平等主義の立場からすれば、責任は、各個人の分配上の取り分と当人の過去の選択の賢さの程度が合致することを要請する。しかし、本研究で明らかになったように、こうした責任理解には以下二つの問題点がある。第一に、個人の選択は社会における制度や規範を背景としており、上記の責任理解では、当人の選択には帰せない制度・規範の影響を割引かなければ責任の判断ができない。しかし、そうした割引の計算は困難である。第二に、不正な社会構造(社会制度・規範)が存在する場合、そのような構造(制度・規範)を是正することも、市民の責任とみなされうる。しかしながら、上記の責任理解では、このような社会構造の変革の責任を考慮に入れることができない。