表題番号:2018K-122 日付:2019/02/07
研究課題独吟連句の付合に見られる「心付け」の特性と「俳文」的発想についての表現論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 中嶋 隆
研究成果概要
 本研究課題は、近世初期俳諧連歌(連句)と仮名草子・浮世草子とを架橋する散文として、談林の俳文に着目し、その特性を探ることにあった。軽妙さと美意識を眼目とした蕉門俳文とは異なり、談林俳文は機知と笑いに富んだ言語遊戯ともいえる叙述が主流である。書肆を兼ねた俳諧師西村未達の「好色本」には、漢文脈や物語文脈の仮名草子とは相違した口語文脈の文体が用いられた。たわいのないプロットは別にして、その即物的で口語や擬態語を多用した文体と笑いに富んだ叙述には、談林俳文的発想が濃いと考える。この点 については「西村市郎右衛門・半兵衛の好色本出版」と題して、米国アジア研究協会(AAS)デンバー大会で発表した。