表題番号:2018K-078 日付:2019/02/02
研究課題「史」の文学性-范曄の『後漢書』
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 渡邉 義浩
研究成果概要
  范曄『後漢書』の文学性は、自らが誇る「賛」の韻文、あるいは「序」「論」の美文によって、「詩人の賦」が持っていた儒教の規定する「文」の本質である「美刺」を表現したことにある。しかも、それは「文」として表現することで初めて「志」と「情」とが伝わるという范曄の文学観に裏打ちされていた。
  『史記』が『春秋』を継承した批判の書、『漢書』が『尚書』を規範とした賛美の書、『三国志』が「圖讖」の正当性を確認する史書であるならば、范曄の『後漢書』は、史官の「美刺」を美文で表現しようという文学性を持つ史書なのであった。