表題番号:2018K-071 日付:2019/03/25
研究課題W.ベンヤミンのラジオ放送作品(1927年~1933年)研究-後期著作群への位置付けの試み
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 助手 田邉 恵子
研究成果概要
ヴァルター・ベンヤミンが1920年代後半から1930年代はじめに取り組んだ「ラジオ放送作品」について、新批判版全集第9巻および、ザビーネ・シラー=レルクの研究を読解することを基礎として分析を加えた。その結果として、彼が児童向けに行った一連のシリーズ「ベルリンのお時間 Berliner Stunde」のいくつかのテクストには、他作品との間テクスト性が認められた。とりわけ特筆すべきは、後期の代表作『1900年ごろのベルリンの幼年時代』(1932-38年)所収「ティーアガルテン」「市場」と、ラジオ放送作品には、ほぼ一致する文言が用いられている点だ。したがってベンヤミンがラジオを用いた時期は、後期思想の発展を可能にした段階であったと位置づけられる。