表題番号:2018B-331 日付:2019/04/01
研究課題御来光遥拝の起源・歴史・現在性  ―「伝統」を再考する歴史教材に向けて
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 森下 壽典
研究成果概要

 山岳信仰としての御来光遥拝について調査・研究を実施した。これは、「伝統」として一般に習慣化された御来光遥拝を歴史的に再検討することが、生徒の生活世界から出発して「伝統」を再考させる教材の開発につながると考えるからである。

 必ずしも計画通りに調査を進めることはできなかったが、20192月には比叡山周辺でフィールドワークを実施し、とくに八王子山に鎮座する日吉大社と、その頂上近くに存在する金大巌(こがねのおおいわ)の現況を確認した。重要なのは、この岩の「テクスチャー」である。つまり、東方を向くこの岩は表面が平滑で、琵琶湖に昇る太陽の光を反射し、それが崇拝の対象となったことが容易に想定されるのである。現在の山岳信仰の原初的形態である古代の磐座信仰と太陽との関係が示唆される事例と言えよう。

 現状では、授業開発へと展開するための基礎的な調査が不足しており、今後も調査・研究を継続していく。