表題番号:2018B-307 日付:2019/04/06
研究課題敗戦の文学空間におけるジェンダー構築の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 教授 榊原 理智
研究成果概要

 本研究は、敗北の経験を語る文学(小説と文芸批評)において、ジェンダー、特にホモソーシャリティ(女性を媒介にした異性愛男性の社会的な絆)が、戦後日本の国家・文化イメージ構成に寄与したことを明らかにしようとするものである。海外研究者との意見交換は昨年度で一段落したため、本年度は執筆に専念する年と位置づけていた。また、これまでの研究から、敗戦の文学空間におけるジェンダーを読み解くためには、敗戦後(占領期から1950年代に至る)小説・文芸批評の分析のみならず、戦前・戦中・戦後の接続を重視する必要があることがわかった。その観点から1930年代から戦後にかけて活躍した林芙美子に焦点をあて、長編小説におけるジェンダー構築に関する論考を発表した。