表題番号:2018B-248 日付:2019/02/14
研究課題プログラミング取引の市場効率性に対する影響の定量的評価:外国為替市場を事例として
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 北村 能寛
研究成果概要
ファイナンス理論を学習した深層学習の予測精度を、代表的なボラティリティ・モデルであるGARCHモデルのそれと日次水準で比較した。日次水準を採用する理由は、既存のGARCH研究が日次ボラティリティを主な研究対象とすることによる。GARCHモデルではボラティリティの説明変数を1期前のボラティリティとするが、それはファイナンス理論から導出されたものではなく、当てはまりの良さによる。その意味で、GARCHモデルを用いたボラティリティ予測では、たとえ予測精度が良くても、その背後にあるファイナンス理論が明らかでなく理論自体を評価することができない。一方、深層学習では、評価対象理論がボラティリティ要因とする経済変数を深層学習への入力とし、ボラティリティを予測する。そして深層学習が高精度の予測を行えば、深層学習が学習対象とした理論はボラティリティの予測に貢献する点で臨床的有効性があると評価できる。現段階では、深層学習の予測精度を支持する結果が得られている。