表題番号:2018B-216 日付:2019/02/01
研究課題環境ストレスによるPersister形成の分子機構解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 常田 聡
(連携研究者) 理工学術院 助教 河合 祐人
研究成果概要
 Persisterとはクローナルな細菌集団の一部で形成され、増殖をほとんど行わないことによって、増殖を標的とする多様な抗菌薬から生き残ることが知られている。また、Persisterは抗菌薬の投与を中止すると再増殖することが知られており、感染症の慢性化に関与することが問題となっている。これまで、当研究室では乳酸発酵遺伝子ldhAが大腸菌Persister形成を誘導することを初めて明らかにした。本研究ではldhA発現によるPersister形成メカニズムの解明を目的とした。コントロールおよびldhA過剰発現株におけるプロトン駆動力およびATP産生量を測定した結果、ldhA発現によってエネルギー代謝は減少せず、むしろ増加することが明らかとなった。以上の結果から、ldhA発現によるPersister形成は既往の経路とは異なり、エネルギーを蓄積することで抗菌薬ストレスから逃れる新たな生存戦略を持つと考えられる。