表題番号:2018B-188 日付:2019/04/03
研究課題アクチン繊維の長距離アロステリーの生理的意義と構造的基盤
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 上田 太郎
(連携研究者) 先進理工学研究科 生命理工学専攻 大学院生 鈴木真耶
(連携研究者) 先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 大学院生 早川悠貴
(連携研究者) 先進理工学部 応用物理学科 卒研生 小野知徳
(連携研究者) 先進理工学部 物理学科 卒研生 金田龍一
研究成果概要
 われわれは、アクチン繊維は、協同的に構造変化することで、多様な機能を発揮すると提唱してきた。このテーマに関して二つの研究を行った。
研究1:Rng2という収縮環タンパク質のアクチン結合ドメイン(Rng2CHD)がアクチン繊維に結合し、ミオシンIIとの運動を強く阻害する。このとき、フィラメント中のアクチン分子20 分子に対してわずか1分子のRng2CHDが結合した状態で運動速度が90%阻害され、極めて強い協同性が示された。高速原子間力顕微鏡により、Rng2CHD存在下でのアクチン繊維の構造変化がリアルタイム観察された。
研究2:アクチン繊維と強く結合するphalloidinのrhodamine標識化合物(RhPh)を用いて、Rhの蛍光強度を指標に、アクチン繊維の構造変化のリアルタイム観察系の確立に努めた。その結果、二つの異なる時定数でアクチン繊維の構造が協同的に揺らぐことが示唆された。