表題番号:2018B-182 日付:
研究課題高密度キセノン中の電子輸送と発光量の基礎研究 (長谷部信行)
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 長谷部 信行
(連携研究者) 理工研 招へい研究員 柴村英道
(連携研究者) 理工研 招へい研究員 月出章
(連携研究者) 先進理工 助手 内藤雅之
研究成果概要

暗黒物質探索の研究では大型TPC技術が重要であり、その精度向上が必須である。最近は大型のTPCが数多く開発されているが、いづれも「電子的阻止能」と「電子的線エネルギー付与」を混同されている。この2つは値は、大きく異なると考えられ、検出精度に影響があると考えられる。そこで、我々は電子的阻止能と電子的線エネルギー付与の違いを検討し、数少ない実験値と比較し、どの程度差異が生じるかを評価した。

数十keVの低エネルギー領域入の射粒子に対して、気体Arと気体Xeの阻止能と核的消光因子を、Lindhardの理論に基づいて計算した。そして、投影飛程に対して空間分布を求め、電子的阻止能と電子的線エネルギー付与の差異を評価した。実験値との比較から、低エネルギー領域においてはLindhardの理論の方が、概ね正しそうであることが分かった。Lindhard理論に基づいて導出した電子的阻止能と電子的線エネルギー付与の差異は、入射エネルギーが5 [keV]にて5倍程度、電子的線エネルギー付与が大きいため、従来の電子的阻止能ではなく、電子的線エネルギー付与から気体TPCでの飛跡の励起分布予想を行い、検証していく必要があることが明らかになった。