表題番号:2018B-046 日付:2019/04/03
研究課題良質な座談の形成に関する基礎的研究―1920,30年代の大衆誌を中心に―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 鶴見 太郎
研究成果概要
 近代日本で「座談」が果たした役割について、特に大正から昭和初期の総合雑誌を中心に分析をすすめた。形式として雑誌に「座談」を持ち込んだ人物が菊池寛の『文藝春秋』が主たる検討対象となった。その際、菊池が持ち込んだ判断基準として、「この人物が加われば、座談が面白くなる、深みがでる」という事項を重視した。「座談」の企画を組んだ段階からすでにその目算が菊池の中にあり、細やかな意見の相違を含みながら、それが流れを構成していることに気を配った形跡がある。また、敢えて結論を出さず、それに近い着地点を示唆するに止めて座談会を終えるという事例も散見され、意識的に菊池が取り入れた「座談」の技法であると推測される。