表題番号:2018B-034 日付:2019/04/03
研究課題考古学・文献史学の協働による前近代日本=カンボジア間交流・交易史の創出
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 准教授 田畑 幸嗣
研究成果概要
 ①日本出土クメール陶器資料・カンボジア出土日本産陶磁器資料の確認調査、②日本出土資料の生産地調査、③ラオスでのクメール陶器・日本産陶磁器資料調査を実施した。
 まず日本出土クメール陶器であるが、首里城京ノ内地点出土東南アジア産陶磁器で、報告書ではタイ産とされていたもののなかに、クメール陶器が含まれていることが確実となった。琉球王国の版図だけでなく、今後予定されている大友氏関連遺跡出土資料からクメール陶器が検出できれば、より具体的な交易品、ルートの推定が可能となろう。
 また、こうした日本出土クメール陶器の産地をさぐるべく、カンボジア・ラオスでのクメール陶器窯跡調査を実施した。カンボジアでは、アンコール遺跡の東方に広がるクメール黒褐釉陶器窯跡群と出土資料調査を行い、ヴィール・コック・トレア窯跡出土資料が、首里城出土資料と同類であることが判明した。産地同定が可能となったことは、本研究の大きな成果のひとつとなろう。
 ラオスでの調査では、窯体は発見できなかったものの、豊富なクメール陶器資料を入手し、今後の基礎資料を構築することができた。