表題番号:2018B-015 日付:2019/04/07
研究課題マスメディアのニュース生産過程における誤報発生の要因と誤報対策の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 大学院政治学研究科 教授 瀬川 至朗
研究成果概要

課題を「沖縄をめぐる偽情報・誤情報の実情と、その対応策としてのファクトチェックの取り組み」に変更して研究に取り組んだ。本研究では、20189月に実施された沖縄県知事選挙で取り組まれた、NPO法人 ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)(注1)のプロジェクトによるファクトチェックの状況を整理・分析した。

FIJの沖縄県知事選プロジェクトには、バズフィードジャパンなど5つのネットメディアと地元新聞の琉球新報の計6メディアが参加して実施した。計25件のファクトチェックが掲載され、FIJのファクトチェック基準を満たしていたケースは21件だった(注2)。

25件のファクトチェックの対象言説を玉城候補サイドあるいは佐喜真候補サイドのいずれかに分類したところ、玉城サイド13件、佐喜真サイド12件だった。判定は正確6件、ほぼ正確5件、不正確1件、ミスリード2件、根拠不明1件、誤り・偽情報9件、不明1件だった。疑義言説は玉城候補を対象としたものが多いといわれたが、ファクトチェックの対象としてはほぼ半々となった。対象言説の選ばれ方やは、ファクトチェックの有効性については今後、さらに質的・量的な分析をしていく必要がある。

(注1)筆者はFIJの理事長を務めている。

(注2)一人の疑義言説の中で2つのファクトチェックが行われている場合は2件とした。