表題番号:2017S-173
日付:2018/04/09
研究課題日本語学習者における母語・習熟度別の漢字知識の傾向 -出題形式の観点による分析-
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 日本語教育研究センター | 講師 | 岩下 智彦 |
- 研究成果概要
本研究では、漢字漢字テストの解答データを使用し、
受験者の解答傾向の分類及び、構成概念の確認を目的として行った。
また、IRTによる問題項目と受験者の対応付けを行い、習熟度と漢字の難しさの関係を検証した。
分析方法は、多変量解析の手法とIRTを使用し、以下の結果を得た。
1)読み群、字形群などといった大問の観点からの顕著な解答傾向は見られなかったが
同一の解答傾向の学習者における大問別得点を母語間で比較したところ、
漢字系学習者は漢字を書く問題、選択式問題の得点が高く、非漢字系学習者は、読みを書く問題の得点が高かった。
しかし、得点が上昇するにつれて、母語間の差は減少していた。
2)主成分分析の結果、漢字力因子、読みか字形かの因子、受容的か産出的かの因子の3主成分が抽出された。
漢字の知識を身につける過程の一端および漢字の知識の構成概念について実証的に明らかにしたといえる。
これに加え、漢字習熟度別の各項目の正答確率を示し、上記の傾向と併せて考察を行った。