表題番号:2017S-065 日付:2021/09/13
研究課題大脳皮質領野の境界形成メカニズム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 花嶋 かりな
研究成果概要

哺乳類特有の脳組織である大脳新皮質は高度な知覚や随意運動を担い、ヒトの精神活動の基盤をなしている。本研究では哺乳類間で高度に保存された運動野と体性感覚野の境界に焦点をあてて、第4層ニューロンの分化と統合ダイナミクスを解析することで、大脳皮質領野の形成機構を明らかにすることを目的とした。これまで最初に誕生するカハールレチウス細胞から第5/6層の深層ニューロンへの産生切り替えを担う転写因子Foxg1が、大脳皮質形成後期の上層ニューロンにおいてCOUP-TF遺伝子と相補的な発現を示すことを見出した。さらにトランスクリプトームとChIP-Seq解析により、Foxg1COUP-TF間の相互作用が大脳皮質の第4層ニューロンの分化決定を制御している可能性を見出した。これらの知見を生体内で検証するために、ノックアウトマウス系統を用いたFoxg1 - COUP-TF1の動態解析、機能獲得および機能喪失実験を行ったところ、両者の相補的な発現が第4層のニューロンの分化を規定していることを明らかにした。