表題番号:2017S-062 日付:2018/04/08
研究課題山東出兵における山東在留邦人の動向及びその帝国意識
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 助手 郭 チェン
研究成果概要

中国在留邦人(居留民)は日本の中国における「特殊権益」の人的基礎を構成している。この人的基礎が中国革命(戦乱)による動揺されるときには、日本政府にとって如何に対処するのかは大きな課題となる。幣原外交の引揚げ保護政策は中国の主権を侵害せず、被害を最小限にする同時に特殊権益の基礎を動揺する恐れも存在する。田中外交の現地保護は特殊権益を保持できるが、必ず中国の主権を侵害し、犠牲を払わなければならない。進退両難の選択に居留民が導いた答えは「出兵」であった。居留民の選択は、政治家に利用して幣原外交を打倒する材料となっており、田中外交への転換を実現した。しかし、田中外交の下に行われた山東出兵は結局居留民が望んだ「出兵」ではなかった。山東出兵に反対する中国の対日経済絶交運動の苦果を真っ先に受けるのも居留民自身であった。居留民が山東出兵において被害者である同時に加害者の一面も持っており、結局最大の失敗者であった。