表題番号:2017S-059 日付:2018/04/09
研究課題都市における権力の眼差しの届かぬ「隙間」をめぐって―アメリカ都市文学における大都市と「小さな都市」の表象
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 助手 渡邉 俊
研究成果概要

 本研究課題においては、近代都市における現実にありながら権力の目の届かぬ「隙間」という空間をテーマに、20世紀初頭のアメリカ文学作品であるセオドア・ドライサーの『シスター・キャリー(1900年)』とシャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ、オハイオ(1919)』について分析を行った。前者においてはハーストウッドの悲劇は、権力の目の届かない「隙間」を発見できないことが原因であるという結論に至った。「小さな都市」を舞台とする後者では、ポストコロニアル理論を援用しつつ、田舎を拒絶し、都市を過剰にフェティッシュ化することで生じる登場人物たちの自己愛がいかに彼らに心身に痛みをもたらしているかを検証した。