表題番号:2017S-027 日付:2018/03/29
研究課題W.ベンヤミン『1900年ごろのベルリンの幼年時代』における〈触覚〉の機能
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 助手 田邉 恵子
研究成果概要
ベンヤミンの回想録『1900年ごろのベルリンの幼年時代』(『幼年時代』1932-38年)における主人公「子ども」は、「前言語的」(アガンベン)、「社会化以前」(リントナー)の知覚能力を具備している。本研究ではこのような子どもの知覚=認識能力のうち、「触覚」を取り上げて分析することで、『幼年時代』における作者ベンヤミンの回想方法と子どもという形象がいかなる相関関係のもとにあるのかを問うた。その結果、『幼年時代』における子どもの「手つき」「触れる」と言った挙措は、単に身体を介した「遊び」の次元に留まるのではなく、ベンヤミン自身の「迂回」「逸脱」を原理とする回想=執筆方法と密接な関係のもとにあることが明らかとなった。