表題番号:2017S-026 日付:2018/01/31
研究課題産業革命期イギリスの鉄輸入業と製鉄業における相互利害:軍艦建造用鉄納入を巡って
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 助手 日尾野 裕一
研究成果概要
 産業革命期の初期に当たる七年戦争期及びその戦後における海軍の軍艦建造用鉄納入状況と、調達方法、その物資に対する評価を研究の対象とした。この時期の海軍は、17世紀以来造船用鉄として重要な地位を占めていたスウェーデン産鉄を重要な物資と位置づけ、スペイン産鉄、ロシア産鉄を補助的に利用していたことが海軍関係史料から明らかとなった。一方で、コークス製鉄法は18世紀初頭に発明されてはいたものの、1760年代のブリテン産鉄生産量は多いものではなく、海軍に利用されてはいなかった。しかし、「国産」という観点では、北米植民地で生産された鉄が1760年代以降、造船用物資として次第に海軍に購入されていた。海軍はこの物資に一定の評価を与え、少量ではありながらも継続的に調達を行っていく。