表題番号:2017K-362 日付:2018/04/04
研究課題『般若波羅蜜多心経』に秘められた言外の意図の分析とそれを反映させた現代語訳の作成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 飛田 康裕
研究成果概要
本研究の目的は、言語的には簡単明瞭であるが、文字通りに読んだ場合には論理的に飛躍していて理解できない『般若波羅蜜多心経』の著述の意図を「言外の意図」という概念を援用して追究し、その意図に即した現代日本語訳を作成することである。分析の結果、明らかとなった『般若心経』の意図は、「空であるというあり方」(śūnyatā-)は、世俗的な智慧によっては一切の事物に共通する特徴(sāmānyalakṣaṇa-)として理解されているが、最高の智慧によって理解される場合には固有の特徴を有する事物(svalakṣaṇa-)であり、しかも、この固有の特徴を有する事物とは、所取・能取という「二つのものを有しない智」であり、「本来的に清らかな智」であるということである。