表題番号:2017K-330 日付:2018/04/09
研究課題トム・マーフィーの演劇とカトリシズム
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 教授 三神 弘子
研究成果概要
本課題では、トム・マーフィーの『サンクチュアリー・ランプ』(The Sanctuary Lamp, 1975) を取り上げ、信仰と救済の意味、カトリック教会と個人の信仰の問題などに焦点をあて、作品分析を進めた。初演時には、作者の意図は十分に理解されず、その根本的で真摯な問いかけは教会に対する冒涜であると見なされた。しかし、1980年代以降のアイルランド社会の変化を経た今日的視点で見ると、マーフィーがいかに時代を先取りしていたかが明らかになり、教会の中で見いだすことはできない救済は、個人の信仰にのみ見いだされるものであると考えられるという点で、この作品は、非常に宗教的な劇であると言うことができる。