表題番号:2017K-329 日付:2018/04/13
研究課題現代英米文学と伝記 ― 文学作品の解釈と伝記の関係
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 教授 大平 章
研究成果概要

今回の研究課題(現代英米文学と伝記)では、20世紀の英国小説家、とりわけD・H・ロレンスの伝記に集中した。R・オールディントンのロレンス伝のうちドイツ語に訳されたものを利用して、それを日本語に訳出した。オールディントンが書いたこの伝記は、原稿の形で残され、彼の死後、英語の本としては出版されず、ドイツ語の伝記シリーズとして翻訳された珍しいものである。オールディントンはそこで、詩人としてのロレンスを強調し、さらにラスキンの思想の影響力にも言及ている。原稿はすでに完成しているので、2018年から19年頃には出版する予定である。そのほか、20世紀英文学研究会で企画した論文集「21世紀の英語文学」(2017年5月刊行)では、現代英語圏作家の伝記を調べる機会を持ち、大いに研究の成果を上げることになった。また、社会学者ノルベルト・エリアスの「回想録」(2017年10月刊行)では、前者の刊行で培われた伝記研究の手法が少なからず役立った。文学者のみならず、社会科学者の伝記にも今回の研究課題の範囲が広がったことは特筆すべきことであり、その方向はこれからも堅持されると自負しているしだいである。