表題番号:2017K-290 日付:2018/04/09
研究課題商業化するサンティアゴ巡礼路のホスピタリティに関する人類学的な研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 竹中 宏子
研究成果概要
  本研究は、近年、著しく商業化が進むサンティアゴ巡礼路のホスピタリティのあり方を、観光産業の視点を考慮しながら、文化人類学的に考察することを目的としている。本研究はサンティアゴ巡礼路が通る町(ルゴ県パラス市)の中心部の商業・宿泊施設におけるフィールドワークを中心に進められたが、大きく次の3点を把握することができた。1)ここ1~2年に新しい施設ができたことから、この巡礼が現在でもなお地域を支える重要な産業であること、2)そういった新しい宿泊施設は、他の一般的な造りとは異なり、巡礼者向けに設計されていること、3)オーナーや従業員の視点からは、巡礼者の大半はツーリズムとしてサンティアゴ巡礼を捉えていて、宗教色は非常に薄いということ、である。ここから申請者がこれまで調査してきた巡礼ホスピタリティとは似て非なる「ホスピタリティ」が浮かび上がる。それは、産業ではありながらそれを忘れさせるような気遣いやもてなしの実践から派生するホスピタリティであり、宿泊施設のオーナーや従業員の旅行体験や他人とのコミュニケーションを好む性格を基にしたホスピタリティなのである。