表題番号:2017K-259 日付:2018/03/10
研究課題機械学習機能を有する橋梁等構造物劣化診断手法の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 教授 犬島 浩
研究成果概要

1.背景
 日本において、橋梁は高度経済成長期に多数建設されている。全国で約70万橋存在し、その内、約50万橋が市町村道に設置されている。寿命とされる50年を迎えた2m以上の橋梁は、2013年で18%、2023年で43%、2033年で67%に増加する。このため、国および各自治体単位の定期的な診断・修復が必要とされている。一方、検査手法は、目視および打音検査などの手法で実施され、診断技術者の技能に依存している。地方自治体における財政・人材不足起因し5年に1度という低頻度で検査されており不十分といえる。。
 本研究においては、実際の橋梁において衝撃実験の加速度信号を利用し、独立成分分析による信号解析し、機会学習の入力信号とし、損傷の有無、及び損傷の程度を評価する診断手法を提案する。

2.方法
 衝撃試験で観測された加速度信号を独立成分分析し、各独立成分に分解する。分解した信号を衝撃試験毎に見比べ、損傷に起因すると推定される信号を選定する。本報告では、独立成分分析のための入力信号は5入力とした。

3.結果
 正常状態において独立成分分析した結果と損傷状態において独立成分分析した結果には差異が観測された。差異の特徴量抽出指標としては、周波数領域で、スペクトルピークに着目するのが適当であった。離散ウェーブレット変換・逆変換の解析手法導入しフィルタリングを試みた。その結果、劣化状態の特徴的変化を検出することができた。

4.結論および今後の課題
 正常状態と損傷状態における加速度信号に、独立成分分析し、適当な独立成分を選択する。次に選択された独立成分は、損傷程度に対応して変化している。正常状態の橋梁および橋梁損傷程度に対応する加速度信号で、損傷状態を推定する見通しが得られた。独立成分分析だけでは抽出困難な損傷を評価できることがわかった。今後の課題としては、複数のセンサによる判定精度向上が挙げられる。