表題番号:2017K-155 日付:2018/03/02
研究課題バリューチェーンの絡む非競争ビジネスモデルの類型化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 大学院経営管理研究科 教授 山田 英夫
研究成果概要
 従来伝統的大企業は、川上から川下までのバリューチェーン(価値連鎖)を、自社内に持つことが、競争上有効とされ、特に規制の厳しい製薬業界や金融業界では、フルセットのバリューチェーンを保有すること自体が、当局に認可される条件でもあった。
 しかし、規制緩和とITの進展を背景に、企業の持つバリューチェーンは、アンバンドリング(解体)される傾向が強くなってきた。
 そのような時代においては、競争構造も変化し、「相手企業のバリューチェーンに入り込むこと」企業の登場によって、お互いの企業がwin-winとなり、競争が控えられるケースが多くなってきた。
 本研究では、そうした企業の事例研究を通じて、”非競争”を作り出すビジネスモデルを研究した。

 研究の結果、①相手企業のバリューチェーンの機能を代替する戦略と、②相手企業のバリューチェーンの機能の付加をする戦略の2つに類型化されることが分かった。
 前者の機能の代替の事例としては、セブン銀行、ランドスケイプ、ラクスルなどがあげられた。これらは、伝統的企業が、バリューチェーンのある機能を自社保有するよりも、競争企業が提供する機能に置き換えた方が、対顧客にも利便性が増し、かつ企業のコストも下がるという利点を持った。
 後者の機能の付加の事例としては、リバイバルドラッグ、一休、コスモスベリーズなどがあげられた。これらは、競争企業の機能を加えた方が、コストを上げずに顧客価値を高めることができた。
このような2つの方法により非競争の状態を作り出すことが、今日的な競争のあり方の1つとして、示すことができた。