表題番号:2017K-147 日付:2018/04/03
研究課題被買収企業の選択に対する買収企業との共通の借入先の特性が与える影響:統計的分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 准教授 山野井 順一
研究成果概要
 本研究は、企業買収の文脈において、二社の企業の共通の借入先の存在とその特性が、被買収企業の選択に与える影響を定量的に明らかにすることを目的とする。既存の企業買収の研究における不足は、二点ある。第一に、買収企業と被買収企業のそれぞれの特性と関係性のみに焦点が当てられ、買収というステークホルダーの利害に大きな影響を与える企業の意思決定に対しどのような影響をもたらすかについては、研究が存在しない。第二に、既存研究が焦点を当てているのは買収後のパフォーマンスであり、買収先の選択についてはほとんど研究がなされていない。本研究はこの両者の研究の不足を補う形で展開されるため、企業買収の研究について理論的、実証的な貢献を図るものである。本研究では、1990年から2014年までの日本の上場企業間における合併買収を対象とし、各企業間に貸し付けを行っている金融機関と貸し出しの金額に焦点を当てた。予備的な結果であるが、共通の金融機関が存在する場合、より合併買収の可能性が高まることが確認された。さらに、買収、被買収先の企業において、ある金融機関の貸出金額が最も大きい場合、より両者の間での合併買収の可能性が高まることが確認された。