表題番号:2017K-137 日付:2018/02/20
研究課題五四時期における周氏兄弟と銭玄同
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 小川 利康
研究成果概要
 本年度は銭玄同日記のデータ入力整理を進めながら、周氏兄弟との関係について研究を進めた。
 銭玄同の初期の日記には早稲田大学師範科で履修していた授業内容についても多数言及があり、その内容についての調査を進めた。また、当時交友があった人間関係として、周氏兄弟だけでなく、許寿裳、馬裕藻、沈兼士らの名前も頻繁にでてくるので、その横の関係を整理することで、新たな発見があると考えられ、関連資料を調べているが、現在のところ、資料不足であまり進んでいない。
 北京大学時代の日記は、欠落時期が多いが、『新青年』編集に関わっていた時期があるため、その時期に魯迅、周作人との間で現行の授受が行われていることが今回改めて確認できた。その事実を踏まえ、武漢大学で発表した論文「新村対周作人之影響再議」ではロシア革命に関する英文思慮運の翻訳時期を正確に特定することによって、周作人が「新しき村」に対する関心が芽生えた直接的な原因が実はロシアで発生した十月革命という暴力革命に衝撃を受けたためであり、ロシア革命に対するアンチテーゼとして「新しき村」という社会変革を重視していたことを明らかにできた。