表題番号:2017K-130 日付:2018/03/29
研究課題アンセルムスとアベラルドゥス―救済論とその方法論―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 教授 矢内 義顯
研究成果概要

Timothy Gorringe, God’Just Vengeance, 1996, Cambridgeは,11世紀のアンセルムスに始まる償罪説とその展開を一九世紀まで追跡し,この神学思想が,西方における刑罰思想,報復の思想に強い影響を及ぼし続けたことを論じると共に,これとは異なる選択肢としての和解論が,12世紀のアベラルドゥス以来存在したことを強調する。むろん、彼の救済論は,ローマの信徒への手紙の註解という制約のもとに語られ,それ自体として十分に展開されたものとは言えない。彼としては,それを『トロポロギア』という著作で果たそうと考えたが,この著作は現存しない。とはいえ,彼の救済論がもつ含蓄を引き出すためには,伝統的な贖罪論および償罪論に対する彼の批判も,詳しく検討しなければならない。