表題番号:2017K-115 日付:2018/04/09
研究課題荘園制の成立過程と地域社会の動向との関係に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 高木 徳郎
研究成果概要

 日本の中世社会の根幹を支えた荘園制の成立をめぐっては、「立荘」論の提起とそれに対する批判を軸に活発な議論が続いているが、対立するふたつの考え方を高いレベルで止揚するためには、荘園領主のもとに残された史料だけではなく、地域社会の中で自律的に伝えられてきた文書史料にも着目し、それらと現地調査によって得られる情報を上手く重ね合わせながら、地域社会の実像に迫っていく方法が有効である。

 本研究では、主に紀伊国相賀荘柏原村を事例に、現地の村落共同体が伝えた惣村文書(柏原文書)の分析と若干の現地調査を進め、村落共同体というやや漠然とした「組織」によって、かくも永続的に中世以来の古文書が守り伝えて来られたのは何故かという点を考察するとともに、関連するシンポジウムや研究会に参加して他の地域との比較検討を行った。