表題番号:2017K-109 日付:2018/02/26
研究課題独吟俳諧の「自註」にみられる俳文的発想と叙述についての表現論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 中嶋 隆
研究成果概要
俳文概念は、蕉風俳諧理念から定義されることが多い。しかしながら『去来抄』で、芭蕉は西鶴の文章を批判している。芭蕉の俳文意識には、韻文・散文といった差異を超えた「俳文」が視野に置かれていた。本研究課題では、『西鶴百韻独吟自註絵巻』を中心に、その談林俳文としての表現論的特徴について分析を試みた。さらに、本研究課題とは若干視点が相違するが、大学院生とともに、新出資料の水間沾徳点・大村蘭台撰『宇呂利』五十韻、『稲はらむ』五十韻、『残る蚊』歌仙の翻刻と注釈を行った。これらの注解から、宝永期以降の蕉門連句では、談林的要素や散文的要素が濃厚な句作り、言わば「俳文的句作り」が行われていることが指摘できた。