表題番号:2017K-078 日付:2018/03/20
研究課題ビザンティン様式の形成における首都と周縁
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 益田 朋幸
研究成果概要

 今年度はコンスタンティノポリスとの関連性において、ロシアとジョージアを考察した。両地には11世紀以降多くのビザンティン画家が渡り、仕事をし、弟子を育成した。14世紀には、ジョージアにマヌイル・エウゲニコス、ロシアにテオファニス(フェオファン・グレク)が渡り、当地にビザンティン最新の様式を伝えた。しかし両地にはビザンティン受容の明らかな差が存在する。ビザンティンでは11世紀以降、「受難の聖母」をめぐって悲哀の表現が新たな展開を見たが、ジョージアはこれを受け入れず、ロシアは熱狂的に受け入れた。ロシアの国民感情ともいえるトスカ toskaと結びついて、ビザンティンの悲哀はロシアで独自の発展を見るのである。