表題番号:2017K-049 日付:2018/04/04
研究課題民事裁判における裁判官の積極性と手続による失権
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 大学院法務研究科 教授 松村 和徳
研究成果概要

施行二〇年の現行民事訴訟法は、「適正で迅速な裁判の実現」を目的とし、この実現のため、当事者主導型の争点中心型の審理手続を整備したとされる。しかし、今日、争点整理期間、平均審理期間の長期化傾向などが指摘されている。審理の迅速とその充足(適正さ)の調和をどのように図るかについて諸外国が試みたのは裁判官の積極性と失権をともなった当事者の行為規律であった。本年度の研究では、最新立法であるスイス民訴法を主な研究対象した。スイス法では発問義務の明文化などで裁判所の積極性が追求され、簡易手続における社会的職権探知主義の導入など手続原則の変革が行われた。さらに、同時提出主義が採用され、失権が強化されている。これらの規定による裁判実務の評価が今後の課題である。