表題番号:2017K-035 日付:2018/02/23
研究課題税制がもたらした格差社会を税制により改善するための比較法的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 教授 渡辺 徹也
研究成果概要
 本研究では、格差を生む税制を変えることによって、格差拡大を抑制し、さらには格差を縮小するための税制のあり方について検討を試みた。

 格差に関するアメリカ合衆国やヨーロッパの文献では、古くはアマルティア・セン(Amartya Sen)、最近ではロバート・ライシュ(Robert Reich)、トマ・ピケティ(Tomas Piketty)のように格差そのものを問題視する主張がある。しかし、最近のパナマ文書やパラダイス・ペーパーの存在が示すように、富裕層の租税回避は、縮小するどころか拡大する傾向にある。

 したがって、実体的ルールの問題と同時に、適正な執行を担保することが重要であり、OECDとG20が行ってきたBEPS行動計画とその後の各国の対応、マイナンバー制度を通じた納税者の情報収集、インターネットを使った事業に対する課税ルールを発展させる必要性があることが明らかとなった。